「それで、僕に言ったんです。助けてって」


「助けて・・・」


石川の母親は、手で顔を覆った。


「そのまま意識を失うように、僕のところに倒れてきたんで、そのまま店で休ませることにしたんです」


「そうだったんですか」


「すみません、連絡が遅くなって。心配なさいましたよね」


「いえ。愛花と会ったのが、先生でよかったです。知らない人じゃなくて」


「僕の話はそれだけです。話してもらえますか?」


「・・・」


「愛花さんの心は悲鳴を上げてます。助けてって、僕にSOSを出すくらいに」


「はい。お話します」


石川の母親は、顔を上げて。


前の暗闇を見た。


「主人は、小さな工場をやってるんです。家の隣に、工場があるんです。先生も、もしかしたら見たかもしれません」


見たかもしれない。