俺の言葉に、一瞬石川の顔が曇った。


「大丈夫だから。帰るね」


それから、さみしそうな目をして俺にそう言った。


「職員玄関の前。5分で集合」


先生は私にそう言って、帰る支度を始めた。


「病人、急がせないでよ」


そう呟いて、保健室を出てきた。


自分でもわかった。


迎えに来てもらえって言われたとき。


先生から、目をそらして。


暗い顔をしたってこと。


でも、先生は何も言わなかった。


聞かなかった。


自分が辛いことは、人には話さない。


話せない。