心~保健室の先生と私~

「家に土足で入る人なんて、いないでしょ?」


「ああ」


「心も同じ。土足で入っちゃいけないんだよ?」


「俺は、そんなつもりないよ?」


「無理に聞き出そうとしても、ダメなんだよ。その人が、自分に心を開いてくれるのを待つのも大事だよ?」


「石川、どっかで心理学でも勉強した?」


「まさか。ただね・・・」


「ただ?」


「今は、そっとしておいて。私、先生のこと嫌いじゃないからさ。いつか、話聞いてもらいたいって思ってるから」


「そっか。わかった」


「寝るね」


「おー、寝ろ」


俺は石川の頭をポンポン叩いた。


「ねー先生」


「なに?」