心~保健室の先生と私~

布団の中から、小さな声が聞こえた。


「放課後には帰るから。ちょっとだけ、ここに居させて」


その声は、いつのも俺をからかう石川の声じゃなかった。


もっと、弱々しい声だった。


「石川、なんかあったのか?」


俺はそう、問いかけてた。


「なんかあったなら、俺が聞くよ?」


「先生、私が答えないってわかってて聞いてる?」


石川が布団から顔を出した。


「先生って、テクニックないね」


「はぁ?」


「直線でダメなら、周り道とかしないと」


「何言ってんの?」


意味不明なんだけど。


俺の顔を見て、石川がくすくす笑った。