「少し横になりな」


俺は愛花の頭を少し押し、自分の膝の上に頭を乗せた。


ぎゅっと愛花が、俺のズボンを握ったのがわかった。


夜中だからか、愛花の母親はなかなか出てくれなかった。


「もしもし、愛花?」


夜中に電話したことに驚いたのか、少しびっくりした声を出す愛花の母親。


「もしもし、愛花さんの学校の保健医ですけど」


「先生ですか?」


「はい。実は・・・」


俺はなるべく小さな声で話した。


愛花に聞かせたくなかった。


「はい、わかりました。すぐ行きます」


そう言った愛花の母親の声は、微かに震えていた。


「待ってます」


そう言って、電話を切った。