「大丈夫だから。俺がいる」


大丈夫。


今はこの言葉しか、掛けることが出来ない。


「愛花、落ち着いて。俺がいる」


何も聞こえない。


何も、聞きたくなかった。


ただ誰かに、この悪い夢を覚ましてほしかった。


「愛花、大丈夫」


遠くで先生の声がした。


大丈夫って、何回も言ってた。


「先生・・・」


「ん。俺はここに居るから、落ち着いて」


涙は、あとからあとから流れてくる。


それでも、先生の声でなんとか平静さを取り戻しつつあった。


「先生・・・」