「数学の先生だから、わかるんだろ?」


「ちがっこほっ。数学の先生は、自分の知識を押し付けてくるだけ。授業では教えてないんだけどなって」


「そうなの?」


「こほっこほっ。だから、余計わかんなくなるの」


そう言って、また咳をする愛花。


「わかった。教えてやるから、寝ろ。咳、ひどくなってる」


「ん」


「おやすみ、愛花」


「おやすみ」


おやすみのあいさつをすると、私は電話を切った。


そのまま、ウトウトと眠りに入った。


途中で、お父さんが様子を見にきてくれた気がする。


朝起きたときには、身体が楽になってた。


お父さんと先生。


心配してくれてありがと。