「解熱剤で一時的に下げただけなので、また上がるかもしれません」


先生がそう付け足した。


「10時になったら病院に行く。それまで寝てなさい」


「お父さん・・・」


「それから、先生には早く帰ってもらいなさい。今日も学校があるはずだ」


そう言って、お父さんは部屋のドアを閉めた。


「ごめんね、先生」


「愛花が謝ることじゃないよ」


俺は愛花の頭をなでた。


「お父さん、怒ってる」


「当たり前だ。高校生の娘の部屋に、知らない男がいたんだから」


「先生、悪くないのに」


そう言うと、愛花は泣きだした。


「泣くな。また熱上がる」


「うん・・・」