「なに?」


佐野先生が、一呼吸おいて言った。


「あのさ、なんか悩みがあるなら俺が聞くよ?」


ドキンっ


心臓が、ザワザワ動き出した。


「どうして・・・そう思うの?」


なるべく、平静を装ってそう聞いた。


「毎日お前見てるんだぞ。何となく、わかるんだよ」


「わーストーカー?」


「変なこと言うな。どっちかって言ったら、お前の方がストーカーだろ。毎日ここに来るんだからな」


「生徒にそんなこと言うんだ。先生ひどーい」


そう言って、またケラケラ笑う石川。


「でもさ、先生」


「なに?」


「佐野先生の勘、当たってないよ」