「いらない」


しんどそうな顔をして、愛花が答えた。


「果物食べるか?」


「いらない」


「愛花、なんか食べないと薬飲めないだろ?」


俺は薬局の袋もあさって、冷えぴたを取り出した。


それを愛花の額に、貼り付けた。


「気持ちいい」


呟くように愛花が言った。


「愛花、なんか食べよ?」


まるで子供をあやすように、先生が言った。


「うん」


重い身体を起こして、そう答えた。


「何がいい?」


フルーツのセット。