忘れよう、先生のこと。


やっぱり、心なんていらない。


でも、無理だった。


私の中に入ってきた先生を追い出すのは。


簡単じゃなかった。


今でも残ってる。


抱きしめてもらった感触。


愛花って、私の名前を呼ぶ先生の声。


ポンポンって、優しく私の頭を叩く先生の手。


全部、覚えてる。


全部、残ってる。


愛花と話がしたい。


でも愛花は。


廊下で俺と会っても、足早に通り過ぎて行く。


目も合わせてくれない。