そう呟いたあとは。


嗚咽が漏れるだけだった。


電話の向こうから、愛花の泣く声が聞こえた。


辛さが、ヒシヒシと伝わってきた。


「先生」


しばらく泣いたあと、愛花が俺を呼んだ。


「なに?」


「私、心葉に嫌われちゃったかな?今までみたいに、お姉ちゃんって呼んでくれなくなっちゃったかな?」


「そんなことないよ」


「ほんと?」


「ああ。心葉ちゃんも、もっと大人になればきっとわかってくれるよ」


「だといいな」


「きっとそうだ」


「先生、私寝るね」


「うん」