私は玄関から持ってきたミュールを履くと、芝になってる小さな庭に足を下ろした。


そっと、リビングの窓を閉める。


外はムッとするほど、暑かった。


「あーあ。終わちゃった」


「なにが?」


「誕生日」


「18歳、おめでとうございます」


「嬉しくない」


「そっか」


ワンピースの石川。


華奢な腕に足。


やっぱりどこか、大人っぽさを感じた。


「どこ行きたい?」


「どこでもいい。どっか遠く」


先生は私の頭を、ポンポンと叩いた。