「ほんとに?」


「ああ」


石川が、目に置いていた腕をどけた。


その目は、赤く潤んでた。


「泣きな。俺が傍に居てやるから」


石川の手を握った。


それから、俺は石川に背を向けた。


「ありがと、先生」


それから、石川の静かな泣き声が聞こえてきた。


握った手から、辛さが伝わってくるようだった。


「先生。私もケータイ番号、教えてあげる」


「ありがと」


「掛けてきても、いいよ」


「ああ。掛けるよ」