「先生」


「なに?」


「何でもない」


そう言って、石川は俺に笑った。


「家はどう?」


「普通」


「そっか」


保健室に来るたび、先生は私に家のことを聞く。


「先生、重くない?」


「なにが?」


「他人に悩み、打ち明けられて」


「そうだな。私、人を殺したのって言われたら重いかもな」


「そうかもね」


確かにそれは重いって思った。


「石川」