振り向くと、そこには中学の時、一緒のクラスだった長谷川みづきが立っていた。

みづきは肩まである髪を耳にかけてピンで留めていた。中学の時は服装の決まりが厳しく、髪の長い女子は黒か茶色のゴムで2つに結ばなければならなかった。
みづきも中学ではいつも2つに結んでいたが、髪を下ろすと急に大人びて見えた。

「また私達、同じクラスだよ」

そう言って、みづきはニヤリと笑った。和也は軽く眉間に皺を寄せて言う。

「またかよ」
「ちょっと！喜びなさいよ！」

みづきは和也の肩をパシッと軽く叩いて笑った。

　和也とみづきはクラスの中でもよく話す方で、いつも軽口を言い合っていた。和也は女子に対して自分から話し掛ける方では無いが、みづきは和也に気さくに話し掛けてきたので、いつしか気のおけない仲間の一人になっていた。