自分で、削除したって事は……。

「あたしの社会的立場を守るために、自分で自分の記憶まで壊すの?」

見上げるあたしの視線を、ジンが静かに見つめ返す。

「幸い、セーフティーロックが解除されていた。警察に俺のコアを調べられる前に削除した」

当たり前のことのように喋る。

けれど、それはロボットにとっての禁忌のはず。

ロボットは自殺出来ないはず。

ロボットは自分を壊すことが出来ないはず。

なのに……。