「っで、この人が本当にちぃの婚約者なの?」


姫の助は髪の毛をいじりながら言う。



「だから、ちげぇっ!


俺はこんな奴の婚約者なんかじゃねぇ!」



勇助は大きな声で怒鳴る。


「そんな大声で言うなよぉ。


オイの鼓膜がじんじんするだろぉ。」


吉太郎がうるさそうに耳をふさぐ。




ここは親善同好会の部室。


と言っても、使われていない会議室だけどな。



オレたちはここで同好会としての活動をしている。




「絶対ゆうだから!」


「まぁ〜た。この前も違う生徒にそう言ってたじゃない。」


「田口はタレ目だから違うって分かったんだよ。


だから、絶対ゆうなんだってば!!」




オレが指さす先にいる勇助は大きなあくびをする。





「でさぁ、お前らがさっきから言っている


その"ゆう"って奴は何なの?」




「ちぃの婚約者だって。


7年前、ちぃはそのゆうっていう子と


結婚を約束し、ずっと探し続けているんだって。」





「なっ・・・7年前って、俺らが幼児の時じゃねぇか!!」


「んなの、関係ねぇよ。」


「いや、あるだろっ!!」



勇助はダンっと机をたたき、


カバンをしょって立ちあがった。




「俺、帰るわ。やってらんねぇ。」



「だったら、ここにサインしてちょうだい。」




姫の助が何か白い紙を渡し、


勇助は訳が分からず名前を書く。




「これでいいのか?」



「フフフフッ、ありがとう。」





そして、姫の助はぱんぱんっとオレたちに向かって


手を叩いた。




「さぁ!新しい仲間を祝してここらでちょっと自己紹介をしましょう!!」




「エエエエエエエエエエエッッ!!??」