屋上の風が気持ちいい・・・。



チャイムの音なんて耳に入らない。



ケータイの着信がなった。






「・・・もしもし?」

「もしもし、里香ー?」


親友の美羽だった。


「・・・美羽?」


「そそ、今ドコ?」

「屋上・・・」


あまりにも風が気持ちよくて眠くなってきた。


「今から夏海と行くね!!」

そして電話は切れた。



目をつぶっていると、眠りに落ちそうだ・・・。





ギィィィィィィィー・・・


あたしは脅かしてやろうと思って、隠れた。


でも来たのは夏海と美羽じゃなくて・・・




同じクラスの城島。

城島は不良だ。


耳には数個のピアス、金髪。
片手には、たばこ。



相変わらずすっげー男・・・




その瞬間城島に気づかれた。





「・・・安齋?」


「何?」



「なんでそんなところにいるの?」




城島は見た目不良、性格も不良なんだけど・・・


声が高くて、弟っぽい。




「城島こそなにやってんの?」



「あ?あぁ、俺たばこ吸いに来たの。」


にっこり笑ってそう言った。



「城島さぁ、そんなことして親に怒られないの?」






そう聞いた瞬間だった。


城島の表情が暗くなった。



「俺に両親はいねぇよ。」



「え・・・?」



「俺のお袋、再婚なんだ。子連れ同士のな。俺に妹いんの知ってんだろ?」


城島の妹は奈々ちゃん。頭がいいんだけれど、体が弱くて最近学校に来ていないといいている。


「あ、奈々ちゃん元気?」



「奈々はな・・・もう・・・もう、いねぇんだ」


そう言った城島の目から涙が溢れた。


「おい、安齋・・・」


名前を呼ばれてあたしは我に返った。



「何・・・?」



「このこと、秘密な。じゃ。」



城島は涙を拭って屋上をあとにした。


あたしは一人屋上で・・・立っていた。