「加ー奈♪どーした?元気ないぞー」

一人の女子が私の頭を叩く。

二学期になって初めて「親友」と呼べる子ができた。
それがこの子、高橋千尋だ。

千尋は私と同じで友達を作ろうとするわけでもなく、ただ毎日学校に来ている、そんな子だった。
ただ少し問題のある子で、屋上でサボったり喧嘩したり・・・と少し厄介な所もあるが、千尋は話せば凄く親しみやすい良い子だった。

昔は唯も親友だったが、唯との関係はいつもどこか不安定だった。
いつ壊れてしまうか分からない、完全に信じ切れないようなそんな感じ。

でも千尋は何故か凄く信用できた。
それは私と千尋が似た者同士だからなのかもしれない。


「べっつにー。ただ数学のテストの点が気になるだけー」
「またまたぁ~。どーせまた100点でしょ」
「そんなことないよ、難問か分からなくて空かしたもん」
「えー!加奈が!?珍しいね!!」
「そう?あ、それより今日の給食何かな?」


千尋に唯のことを考えてたなんて言えなくて、必死に話を逸らした。
バレるんじゃないかと凄くドキドキした。


千尋は信じられるけれど、自分の汚い所を見せたくはなかった。
心のどこかで軽蔑されてしまうんじゃあないか、と怖くなった。


たまにこの親友という関係が苦しくなる。
唯を思い出すから。