「ちょっと遅なってしもたなぁ」 虎太郎はそう言うと、あたしの頭をクシャっと撫で、 「待っててくれてありがとうな」 少し口端が腫れた虎太郎がにっこり笑った。 あたしは声を上げて泣いた。子どもみたいに、その場に立ち尽くしたまま。 そんなあたしを抱きしめた。温もりでわかる。ニオイでわかる。それが龍平だって。 「…ウッ……りゅ、へ…」 そのままあたしの肩を抱き、龍平は黒ソファーにあたしを座らせ、自分もその隣に座った。