「羽流ちゃん?」 雅がびっくりしたような顔であたしの方を見る。 「あたしが…あたしが銀次の……」 そうだ…あたしが承諾しなかったから…だから銀次はあの時「交渉決裂」って言葉を口にしたんだ…… 「羽流ちゃん!!ちゃんと俺を見て。大丈夫。一回深呼吸して」 雅はあたしの肩をがっちり掴んだ。 あたしは言われた通り、フゥーと深呼吸をし、気持ちを落ち着かせ、銀次に言われた事を雅に話した。 「でも、それでもやっぱりおかしい」 「…雅?」 雅は右手を顎の方に持って行き、考える人のポーズをとった。