「おい」 頭上から聞こえてきた声に俯いたままの顔を上げると、そこには1人男の子が立っていた。 「誰?」 あたしより1つか2つ上の男の子は、無表情で狐のように切れ長の目をしていた。 「銀次」 そう言うと男の子はあたしの自転車を立たせた。 「乗れよ」 「…でも……」 「後ろ持っててやるよ」