ストロング・マン




連絡したあと、すぐに返事が返ってきて、
この勤務体制が始まる前には1度会いたい、とのことだった。

もちろん私も会うつもりだったから快諾した。
しばらく会えなくなっちゃうなら、会わないとね。





その週の金曜日、待ち合わせ場所にはすでに尚の姿があった。


「ごめんね、待たせた?」

「ぜーんぜん平気!今日もお疲れ様。
毎日残業続いてるね?」


1日働いたというのに、なんでこんなに爽やかなのか、と思うほどの笑顔で迎えてくれた。


「体制に入る前は打ち合わせも多いし、確認作業も多いし、やること山積みでね…それと平行して別案件も抱えてたりするからさ。」


私たちは担当の銀行ごとにチームになっているが、稼働前になると作成や構築作業がほとんどないため、別の銀行の仕事を行ったりもするのだ。

基本的な仕組みは銀行ごとで変わらないものの、新しいサーバーやシステムが出てくれば新しいものを取り入れるため、銀行によって若干異なる部分が出てくるのだ。
だからいろんなシステムが混ざってよくわからなくなることも、しばしば。


「そっかー。
今日は愚痴も聞くし、ひとまずどっか入って飲もうか」


「うん、いっぱい飲もう!」