「なあ、気になんの?」
じりじりと修也が近づいてくる。私はどんどん後退するものの、むなしくも壁にぶつかり、これ以上下がることができなくなってしまった。ここで認めなければこれから修也に聞くことも出来ないし。
くそう、やられた。
「き、気になり、ます・・・」
最後の方はほとんど聞こえなかったと思う。でも修也はその言葉を待ってましたと言わんばかりにさらにニヤリとして、私との距離をぐっとつめたかと思うとチュッと軽いキスをした。
「な・・・!不意打ち・・・」
驚いて口元を手で隠した私の手をどかして、さらにキス。そしてとどめのキス。
私が顔を真っ赤にしたことに満足したようで、やっと解放してくれた。
「さっきの話だけど、家に行ったことはあるよ。元カノんちとか。」
「・・・とかってなによ、とかって。」
私のツッコミにうっとつまる修也。それはきっと、そういうことに違いない。ここは深く追及しないでおこう。ダメージを受けるのはきっと私の方だ。
「まあいいけど。
でも、ならなんでうちに来るのためらってたの?」
私の疑問を聞いた修也ははあとため息をついた。
「郁、男心分かってなさすぎ。」


