ストロング・マン



その後ずっとあんな調子で話していた私たちは、22時まで飲んでお店を出た。
せっかく店内で冷えた身体に夏の夜の蒸し暑さがまとわりつく。


「じゃ、とりあえず駅まで送るよ。」


「あれ、うちに来ないの?」


思ったことがつい口から出てしまい、なんだか私が誘ったようになってしまった。でも、誰だってそう思うよね?金曜の夜で付き合っている彼女が1人暮らししてたら、一緒に過ごすもんじゃないの?


・・・修也はあんまりあたしと一緒に居たくないのかな。この間もそういうことだったのかもしれない。


少なからず修也の言葉に落ち込んだ私が「なんでもない」って言おうとした時、





「お前なあ、そういうこと言うなよ。」


っていう呆れた声が聞こえてきた。そんなにうちにくることが嫌だったなんて知らなかった。さっきの予感が確信に変わった瞬間だった。


「ごめん、そんなに嫌だと思ってなくて。嫌ならこなくて、」


「誰も嫌なんて言ってないだろ!

じゃあ、遠慮なく行くけど、いい?」


修也の考えていることが全く分からなくて、とりあえず首を縦に振ると、それを見た修也が私の手を掴んで駅まで歩き出した。

うちにつくまでなんだかぎこちない雰囲気で、早く着いてーって思った。