「‥‥響ちゃん」


いつもより少し低くて、掠れた声で呼びかけられる。


「ん?」


返事をしても何も返ってこない。


ただ、響ちゃんと何度も呼ばれるだけだった。




「‥‥会いたかった」


想いが体から、心から溢れて言葉として空気に溶け込んで、

目の前のあいつに伝わるといいな。



「俺も‥‥」



そう伝えられてよかった。

そう言って貰えてよかった。



あいつは腕の力を抜いてあたしの顔を覗き込んできた。