馬鹿な男だ。 「今日はもう歌わないの?」 何その目は。 暗に歌ってって言ってるようなもんじゃん。 まるで餌を待つ子犬みたいだ。 そういう目って好きじゃない。 純粋な汚れのない目はあたしを苦しめる。 その目にはあたしの汚れがよく映る。 だから嫌い。 「今日はもう歌わない」 だから、その目から逃げる。 あたしが映ったその目を見ないように。 「そっかぁ。じゃあ明日聞かせてね」