「ただいま」


「お帰りなさい。今日は少し遅かったわね」



わざわざ玄関まで来てあたしを出迎えてくれた母。


いつもよりほんのちょっと遅くなっただけでもすぐに心配する。



それは嬉しく思うことなのかもしれない。



だけど、重いんだ。


その気持ちが。




「うん。ちょっと先生に用事があって」



なるべく明るい声で言う。


「そう。まぁそんなに遅くないからいいけど、あんまり心配かけないでね」



「わかってるよ、お母さん」


小さな声で呟くと、お母さんは安心したようにキッチンに入って行った。