そこに行っても何か特別なものは何もない。


あいつを見て微かに首を傾げると、

ん、と上を指差した。



あいつの指の先を見つめて、

一瞬息が止まった気がした。



あたしの目に映ったのは、

夜空に広がった一面の星。


住宅地ではありえないくらいに強く明るく光っていた。



「ここは街灯もなにもないから、よく見えるんだ」


何も言葉を発しなかった(正確には言葉が出てこなかった)

あたしの手をぎゅっと握ってそう言った。



「響ちゃんと一緒に来たかったんだ」