「響ちゃん偉かったね」
あのあとお母さんは部屋に入って、
あたしたちはリビングでコーヒー(あいつはミルク二杯に角砂糖四つ。見てるだけでも気持ち悪くなりそうだ)
を飲んでる。
「そんなことないよ」
なんて言うのはちょっとした照れ隠し。
あたしって照れ屋だったっけ。
「いや、偉い偉い」
そう言って頭をぽんぽんって撫でてくれる。
なんだか子供に戻った気分。
でも悪い気はしない。
「よし帰るか」
あの吐き気がするようなコーヒーを飲み干すと、
立ち上がって玄関に向かった。
時計を見たらもう11時を過ぎていた。
歌っていた頃に比べればまだ早い時間だけど、
なんだか申し訳ない気持ちになる。


