斜め前の君




「・・・・・・ということで、本日はこれで解散!」



あの後担任がやってきてHRが行われた。HRでは明日の日程について、など簡単な連絡事項を伝えるだけだったため、すぐに終わった。


莉沙は大量にあった荷物を机の上で整理をしていた。散らばってしまったファイルをきちんと閉じなおしているのである。しかも、全教科のプリントが混ざってしまったためにすごい量だ。横では愛美が一緒に帰るために莉沙をまっている。


「莉沙ーまだー?」


HRが終わってからすでに30分が経過・・・つまり、愛美は30分待たされている。それなのにもかかわらず、机の上が片付け終わる気配は一向に無い。


「もうちょっとだからーごめんねぇ」

「もー明日じゃダメなのー?」

「今って思ったときにやらないと絶対放置しちゃう・・・」

「確かにそうだけど・・・あ、私トイレ行ってくるね」


そういって愛美は席からたって教室を出て行った。

HRが終了してからそれなりに時間もたち、クラス替えした直後ということもあり、教室には既に愛美と莉沙の鞄しか残っていなかった。

つまり、教室には今莉沙しかいない。

シンとした教室の中で莉沙はもくもくと作業を続けた。





「・・・何やってるの?」



また、頭上からあのテノールが聞こえた。

ちらりと顔を上げれば、そこにあったのはやっぱり朝ぶつかった男の子と喋っていた人。



「えっとファイルの整理・・・?」


この机の状況を見て分からないのだろうか・・・。

と思いつつも莉沙は答えた。



「ふーん。」



男の子は興味なさそうな返事をした。


(ふーんって・・・ていうか用が無いなら居なくなって欲しい。気まずい・・・)

莉沙は愛想笑いを浮かべて少年の顔を見上げた。が、少年は先ほどと変わらない表情で変わらず莉沙の近くでたっている。


(何でこういうときに限って愛美は居ないのかな・・・)


そんなことを考えていると、無言だった男の子が再び口を開いた。