斜め前の君




莉沙のそんな表情を見て、胸がチクリと痛むような感覚がした。

同時に、悲しげな表情を作らせる原因を憎らしいと思った。



どうして、そんな風に思うのかなんて、尋ねられても分からないけれど。



「じゃあさ・・・」



そして、ここから先は、本当に無意識に口に出していた。






「あんたが俺のこと、好きになれよ」











「え・・・?何言って」

「よく分からないけど・・・あんたのそんな表情見たくない。」





正直、言って後悔をした。
だって、意味が分からない・・・。



「無理だよ、そんなの・・・。」




莉沙は小さくつぶやいた。



「だって君はさ、彼女とられた腹いせか知らないけど、私にちょっかい出しているんでしょう?・・・そんな人のこと、好きになれるわけ無いよ。絶対に」


「絶対なんて、言い切れない」

「言い切れるよ。私君のこと嫌い。恐い。そんな人、好きになれない・・・」





先ほどチクリ痛んだ胸が、今度はズキリと大きく痛んだ気がした。