少し変わった大輔の雰囲気に戸惑う。
しかし、何よりも莉沙には否定したい事があった。
「翔くんが、とかそんなの関係ないよ。」
目の前の大輔を見据えて、静かに、けれどはっきりと言い放った。
大輔は言葉を失ってしまったかのように、何を言えば良いのか分からなくなってしまう。
そんな彼をほっといて、莉沙は続ける
「好きな人以外には触れられたくないの。翔くんの、他の彼女と一緒にしないで」
そう宣言する莉沙の目は、強い意思の中に悲しみを含んでいるような
先ほど大輔に怯えているだけの目とはあまりにも異なっていて
どこか、惹き付けられるような瞳だった。
「……じゃあさ、好きな奴ならあんな風に怯えない?」
莉沙のあの怯えようを見て、大輔は莉沙は男性恐怖症なのではないかと、少し疑問を抱いていたのだ。
そんな彼の問いに莉沙は少し自信なさげな様子で
「……たぶん」
「たぶん?」
「翔くんの時は平気だったけど……その後は誰も好きにならなかったから……」
そう呟く莉沙の目が、また寂しそうな物へと変わっていくのは
きっと
“気のせい”なんかじゃない
