斜め前の君





「しっかし…HR委員なんて面倒な事、あんたよく引き受けたね」


「………」


(さっきから思ってたのだけど……この人クラスと二人じゃキャラ違う……)



大輔の口調の変わりように少しポカンとしてしまう。



「えっと……なんか侑くんに指されて……断れない雰囲気になっちゃったから」


「ふーん侑がねぇ」

「そういう君も……」

「ん?」

「こうゆう事嫌いそうなタイプなのに、」



どうして引き受けたの?
と続ける前に大輔は顔だけ莉沙の方に向けた。そしてニヤリとした嫌な笑みを浮かべながら




「そりゃー莉沙ちゃんと2人っきりで居られるチャンスだからねー」

「は……」

「言ったよね。俺、翔に彼女盗られたの」



大輔の笑みが冷たい物へと、変化する。

大輔の発言に、表情に昨日あった事が蘇ってくる。


少しだけ震えそうになる体。





しかし


分からない事が一つだけある



「……でも私には関係ないよ、ね。なんで」



私なの…?

と尋ねるより早く彼は顔を近付けてきた。


そして


「どうしてだろうね、知りたい?」


と吐息が掛かるほど、近い距離で微笑むのだ。


笑むと言っても、その表情は酷く冷たいものだけど