斜め前の君


心に一抹の不安を抱えつつも、時間はどんどん過ぎていって


気がつけばもう放課後になっていた。



莉沙は終了のチャイムと共に立ち上がり、一人で社会科準備室へ向かおうとした。



だが




「村野さん」





その言葉と共に、捕らえられた右腕

後ろから聞こえてきたのは、紛れもないあいつの声


ゆっくりと振り返れば、そこに居たのはやっぱり……



「せっかくだから一緒に行こ」





周りから見れば爽やかな笑顔を浮かべている大輔だった。


「っ……」


莉沙が大輔の表情を見て黙り込むと、彼は腕を掴んだままスタスタと歩いて教室から出ていく。


莉沙は大輔に引っ張られる形で歩く形になった。





(少しでも一緒に居たくないのにー)



そう心で叫びながら、前方を歩く大輔の背中を見上げた。


どこにでも居る、男子高校生のようにワックスで少し立たせている髪がふわふわと揺れる。



そして、暫く歩いていると、不意に大輔が口を開いた