「今日は委員を決めるぞー」


と言って担任は黒板に委員会名を次々と書いていった。


クラス委員
HR委員
美化委員
保健委員
風紀委員……


といった感じで8個の委員会名が並んだ。



「じゃあクラス委員を決めたら進行はそいつらに任せる!立候補は挙手するように」



と言うと、サッと手が上がった。


丁度、男女1人ずつ。


男子の方は先ほど話していた侑だった。




委員というのは大体、友達同士で事前に約束していたり経験者がやったりするので、3年にもなれば割と早く決まる。




しかし、

誰もがやりたがらない委員が1つ


それは……





「誰かHR委員やってくれる人いませんかー?」




そうHR委員である。

HR委員とは主に先生のプリントの配布やクラス単位の行事の運営などの補助をする。

謂わば雑用係である。


しかも委員といってもクラス内での活動が基本なので、新しい友達も増えない。


そのくせ、仕事は多い。



と言うことを皆が知っている為、誰もやりたがらないのだ。



「困ったなぁー」


クラス委員になった侑はそう言いながら教室を見回した。


「あ……」



そして、ぼーっと黒板を眺めていた莉沙と目が合うと何か閃いた様な顔をして




「村野さん、やらない?」

「はい……?」



黒板の前から莉沙に向かって大きな声で話しかけたのだった。