3人はいつも 二丁目にきたら行く タイ料理屋へ。

「何飲むー?アタシ、ビール」


レイは、飲み物を決めると トイレへと席をたつ。

「リュウくんは?」


ナナはリュウにメニューを差し出した。


リュウはお酒が飲めない。


「コーラ。ナナちゃんは?」


「これにする♪」


ナナはマンゴーのお酒に決めた。


レイも席へ戻る。


食事を注文し終えて、3人で久しぶりの乾杯。


「…で、今日はどうしたの?」


レイは、ビールを一口飲み込むとリュウにたずねた。


「ヒロコから電話きてさぁ…。やり直したいみたいで…」


レイも、ナナも驚く。


ヒロコは、リュウの学生時代からの腐れ縁の、一応は…… 付き合っていたから、モト彼女。


何度も喧嘩しては くっつきを繰り返している。


…が、3ヶ月ほど前に いつもめったに怒らないリュウが、ヒロコに三行半を突き付けた。


理由は、度の過ぎるヒロコのわがまま。


ヒロコは、いわゆる 完全なレズビアンじゃないし

かといって 異性とも長続きしない。


リュウの甘やかしも手伝い、立派な 「お嬢様」体質になっていた。


立場的にはナナと同じ。

ナナは 基本的に 見た目は女らしいが 中身がサバサバしている。


人の文句も、愚痴も言わない。


そんな ナナでさえ ヒロコは……


少し苦手だった。


もちろん、レイも例外でなく。


ナナと付き合う前から ヒロコも知っているが


リュウに対する態度や、ヒロコのかもしだしている雰囲気が、苦手で 嫌いだった。


リュウは、さすがに ヒロコのそんな 周囲の評価も知っていたし


3ヶ月前の別れ話しでは


「お前も頭冷やせよ。お前、そのまんまだったら誰もいなくなるよ」


かなり 厳しい一言を言い放っていた。