二丁目のオナベバーで、リュウは週に2回、アルバイトをしていた。


二丁目は、狭い。


二丁目には、『同性愛』の街という代名詞が必ずツイて廻るほど、だれもが知っている、日本屈指の『歓楽街』…


『ゲイ』たちのための。

いろいろなお店がある。

何年、通っても いわゆる 『通』には なれないんじゃないかと、レイは思うのだ。


ここでは、唯一 『平常心』や『しがらみ』『体裁』を 忘れて、ゲイが自分らしくいられる場所だとおもうけど。


反面、いつまで 経っても 閉鎖的で 最後の扉 一枚分までは 開かない。


だから レイは ここが そんな 狭くて 閉鎖的な街で、そんな場所でしか生きられない『同性愛者』にはなりたくないと、


自然に 足が向かわなくなった。


楽しいけれど、


落ち着くけども、


自分らしくいられるけれど、


『非現実』。


「アタシは、現実の社会でも、それなりに生きるんだ」


二丁目の住人を、見ていると…


一生救われない気になって、


それは、まるで自分のことを見ているようで


レイは息苦しくなる。


イベントやたまに 遊びにくる場所にしておいたほうがいいんだ。


こんな場所。


夜が更けて、街が騒がしくなればなるほど


レイは 自分の気持ちが沈んで行くのがわかる。


度の強い アルコールを口に含むように


じわじわと 胃や体に 『寂しさ』が 染み込む。


いづれ、体は 、深い酔いに侵されて 自立出来ないほどになることを


この街で何度も 経験した。


レイを含めて、ここを そういう『非現実的な街』だと、足を運ばなくなるものも少なくない。


リュウのように、自ら 足を踏み入れてしまうものもまた、然り。


この小さな街は、結局 最後に 終焉を迎えるには 頼りなさすぎる。


レイにとったら、ディズニーランドや遊園地に行くようなものだから。