夕方というより 夜になっていた。


レイとナナは、新宿へと向かった。


「混んでるねぇ」


朝 夕の小田急線は 超 ラッシュ。


二人とも ぎゅうぎゅうに詰まった 車内で なんとか 体勢を保つ。


狭い車内。


ナナはレイにぴったりと くっついている。


こうしていれば 痴漢に合わない。


ナナは、レイといると 痴漢されないから いい と言う。


ナナもレイも 160㌢くらい。


レイは、ぱっと見 華奢な男の子に見える。


見るひとに よるのだろうけど


レイは その 容姿を 最大限 活用している。


『トイレ』。


女子のおトイレは 長い。

それから 遊園地や人の集まる場所も


女子トイレは 何故か 渋滞する。


そんな時 レイは 『男子トイレ』を 使う。


「大丈夫?」


ぎゅうぎゅう すし詰め状態の車内、レイはナナを支えながら


「大丈夫よ」


「もうちょいで着くから」

ナナのおでこに キスをする。


間もなく 新宿についた。

待ち合わせ場所の 小田急線の改札近く。


黒のトレーナーに 黒のダウンベスト。

黒色のキャプに ジーンズ姿の 少年のような 姿のリュウを 見つける。


「オーッス」


「早いなぁ、待った?」


レイとリュウは 手の平を パチンと 合わせた。


「今来たばっかだよ。こんばんは、ナナちゃん」


「久しぶりだねー、元気?」


「うん、このとーり」


リュウは小さな体で大きなリアクションを取る。


「リュウ、真っ黒クロスケみたいだよ」


レイがリュウに言うと、リュウも


「だよな。アハハ。気づいたらこんなんだった」


「どこ行く?」


レイとリュウは、立ち話しながら


少しして、決まったようだ。


地下鉄に乗り換えて、新宿二丁目を 目指す。