「…甘い」
そぉーと布団の中に忍び込んだのに、起こしてしまったのか。
それとも、起きていたのか。
「え?」
「匂い。お前チョコくせぇよ」
嘘っ!
慌てて自分の服の匂いを嗅いでみる。
匂いの充満したところにいてもう鼻が慣れてしまったのか、全然わからない。
「わっ!」
腕が伸びてきて、凌兄の方へ引き寄せられる。
胸元に押し付けられた。
「…お前、最近夜起きて何してんだよ?」
ビクッと、肩が揺れる。
夜、途中に起きてるのバレてたんだ…。
やばい、ここでバレたら意味がない。
全部、水の泡だ。
「べ、べつに…っ」
これで凌兄をごまかせるとは思ってない。
あたしの知恵がないせい…。
これじゃむしろ、逆に怒られそうだ。

