僕ら4人、車内で会話を交わすことはなかった。みんな、黙っていた。 きっと…みんな同じこと考えてたんだと思うんだ。 “家族”になんか、なれっこないって。 「ここだよ」 住宅展示場にあるような、大きな暖かい家だった。 ここがこれから僕の家になる。 少しだけ、胸が弾んだ。 僕らが車から降りると、おじさんが玄関を開けた。 「栞ーっ!!」 途端、おじさんは大きな声で呼んだ。 実の娘の、名前だろう。 栞…変わった名前だな…。 バタバタ…ッと階段を駆け降りる音が聞こえた。