「…じゃあ、こうしない?」
みんなで黙っていた中、冬兎がそう言って沈黙を破った。
「え?」
「5人で遊園地に行かない?」
「へ…?」
いきなりの提案に、栞だけでなく勇紀も驚く。
「遊園地…?」
「うん。よくみんなで行ったじゃん。昔みたいにさ…」
どうしていきなりそんなことをいうのだろう。
冬兎の考えが分からなかった。
キョトンとしていると、冬兎が淋しげでありながら、それでもにこっと…笑って。
「栞達が結婚する前にさ、“兄弟”で思い出作ろう…?」
そうか。
もう一ヶ月後には、あたしと凌兄は兄弟じゃなくなるのか…。
5人兄弟じゃなくなるのか…。
そしていつかは出ていって……
なんだか急に実感が湧いてきて、なんともいえない気持ちで胸がいっぱいになった。
兄弟は最後なんだ。
これで最後なんだ。
結婚してしまえば、きっと少しだけ…今までとは何か、変わってしまうと思うから。
「うん、行こう!遊園地!」

