栞は黙りこんでしまった。
わかっている…のだ。
こんなこと言ったってどうしようもないこと。
凌兄を譲るわけにも、いかない。
栞だってそれはいくら雛に、でも出来ないから…。
しかし、雛の落ち込んでいる顔を見るのも辛い。
「…わかってるよ。あたしだって凌兄が好きだもん…。
でも…あたし、このまま凌兄と結婚してもいいのかな…?」
どうせするなら、祝って欲しい。
1番大事な、家族に。
こんな気持ちのまま、あと一ヶ月ちょいで、結婚式を迎えてしまっていいのだろうか…?
あたしだけが、幸せになっていいのだろうか……?

