物心つく前に、僕は孤児院に預けられた。 そこは教会的な雰囲気を醸し出すような、真っ白な場所で。 いろんな子供達がいた。 僕はよくこの顔のせいで、女の子達ばかりに囲まれていた気がする。 その日は真夏に珍しく、大雨が降っていた。それなのに、若い夫婦が訪れた。 何しに来たのか位、ここに長く住んでいればわかる。 “養子”を探していた。 でもそのときはまだ、僕には関係ないことだ、そう思っていた。