勇紀って奴は、初めから馬鹿な奴だった…気がする。
グランドにサッカー部に入部希望の1年が集まっていたときに、話し掛けられた。
『なあ、お前同じクラスの奴だよなっ!俺、勇紀!よっしく!』
その時はまだ、勇紀のことは知らなかった。
ただ、俺に話し掛けてくる奴は珍しい…。
『俺は梓。こちらこそよろしく』
笑顔がなんか純粋っつーか。眩しい奴だと思った。
それからサッカーの話をして…、勇紀は正真正銘のサッカー馬鹿だった(笑)。
昔から俺のこの顔はカッコイイらしく、善くも悪くもいろいろ言われた。
その為、俺は上手く世の中を渡る術を身につけていた。
面倒なことは面倒臭いから、
上辺を取り繕い上手くやってきた。
けど、物凄くつまらなかった。
だけど、勇紀と初めて話した時なんか思った。
こいつといると、面白くなりそうだって。

