「…2人とも、だいすき。」
今日から、少しだけあたしたちは変わってしまうから。
その前に、伝えておこう。
…本番前から、こんなに泣いて、あたしの涙は足りるんだろうか?
それでも、止まらない。
「栞、」
冬兎の声に顔をあげると、おでこにキスをされた。
「…え、」
びっくりして、涙はひっこんでしまった。
「…僕も。幸せになってね」
優しくて可愛い冬兎。
だいすきだよ。
「お、おま…っ!」
くすくす。笑ってるあたしたちと対照的に、一人慌てて顔をほんのり赤くしている勇紀。
「ん?勇紀なに?」
「冬兎、お前っ!これから兄貴の嫁になろうとしてるやつにっ…」
「なら、勇紀もすればいいんじゃない?」
「…バッ!!」
勇紀の顔は、更に真っ赤になったから、すっごい笑えた。

