「…栞、大丈夫?気をつけなきゃだめだよ?」
その逆に、冬兎はすごく、優しい。
やっぱり、変わらないなと思う。
なんだかほっとして、くすくすと笑えてきた。
「お前ったくっ!笑ってんな!!これだから自覚が足りねぇーんだっ!
…お前はもう、一人の体じゃないんだぞ!?」
そう、あたしのお腹の中には…………小さな小さな命がある。
あたしと、凌兄の………。
「勇紀、気持ちはわかるけど落ち着きなって。栞、体調は大丈夫?」
冬兎は、こんなときでも優しく気遣ってくれて、良くできた弟だ。
「冬兎~!!」って言っていつもの調子で抱き着こうとしたけど、それは勇紀によって止められた。
「ほら、ぐずぐずしてないで行くぞっ!」
「あ、そういえばなんで2人はこんなとこにいるの!?」
もうすぐ始まるんだから、席についてなきゃいけないんじゃないの?

