ゆっくり、一歩ずつ。
この日が、本当に来るなんて思わなかった…。
なんだか、まだ夢の中みたい。実感が湧かない。
それでも、お母さんの言葉が、やっぱりそうなんだと、教えてくれた。
こんな日に。
他の人は、どんな想いで、この瞬間を迎えるのだろう。
幸せだろうか。でもあたしはまだ――――…
「…うわぁぁっ!!」
考えごとしてて、足元を気にするの忘れてた!!
足元の裾を踏んで……
転ぶ!!って思った瞬間。
ふわっと、身体が浮くような感覚がして。
…そのあと、2つの腕の感触がした。
恐る恐る閉じていた目を開けると……。
「勇紀!!冬兎!!」
「アホか!!お前っこっちは心臓が止まるかと思ったっつーの!!」
「あはは、ごめん…」
「笑い事じゃねぇよ!!」
すごく、叱られた。

