でも、俯いてしまった。
「あぁ、おかえり」
「…え?」
予想と違い、普通の声だった。
顔をあげると、笑顔だった。
あれ、でもどこか……違和感…。
それが何なのか、すぐにわかった。
久しぶりの凌兄との2人部屋。
やっぱり、安心するなぁ…。
ここは、凌兄の匂いがする……。
だけど、いつもと違うのは。
二人っきりになっても、凌兄はあたしに触れてこない。
まだ仲直りをちゃんと出来てないから?
気のせいかな、と思っても、やっぱり違う。
近くにいるけど…どこかよそよそしい。
あたしの方すら、あんまり見てくれないし…。
かと思ったら、部屋から出て行ってしまった…。

